民宿前川
前川良子さん
「生きている以上仕事をする!」
「あの時、あーすればよかった、とかいう生き方はしたくない。」
そう語ってくださったのは、民宿前川の前川良子さん。
前川さんは民宿をしながら、朝は漁師のお手伝いをしています。
民宿に来る人はみんなこどもたちのよう。
来てくれる方も、「お母さん、行ってきます」と言い、民宿を出発するそうです。
お掃除、洗濯、ご飯の支度。これらは自分にできること。
できることを、ただ、懸命にやっているだけだ、と前川さんは話します。
前川さんは、震災で娘さんを亡くしました。
はじめ1年は民宿をやろうとは思わなかったそうです。
そこで励ましの声をくれたのは同級生。
旦那さんもその同級生のひとりです。
「民宿頑張れ!」
前川さんは、また、民宿をやってみようと考えます。
生きている限り、闘わなければならない。
何か資格を得ようと、震災後1年経った、5月。
介護福祉士2級を取得します。
このときの生活は、朝は漁の手伝い、昼は勉強。
明らかに大変だったろうと感じました。
しかし、前川さんは楽しかった!
そう話します。
「みんなで机を並べて勉強することは、何十年ぶり。
自分は高齢の方だったが、世代は関係なく、みんなで囲んでお昼ご飯を食べて、とにかく勉強がたのしかった。」
前川さんは、ここで、若い人には負けない自分にできることがある、ということを知った、と言います。
民宿で自分がしていることは、自分ができること、自分にしかできないこと。
「懸命に生きる」
人生を自らの人生で語る前川良子さん。
「釜石に帰ってきたい。」
釜石を故郷だと思わせてくれる。
大切にしたい釜石のお母さんです。