≪ヨソ者がいたから切れたリスタート≫
3月11日、津波によって壊滅的な被害を受けた釜石がここまで発展してこれたのは
地元のひとたちの力だけではできなかったと高橋さんは話す。
高橋さん自身、仲間も職場も全て波に奪われた。震災直後は、
今後どうしていくか何一つ考えられなかった。
そんなとき、今までの生活や仕事を捨てて、まったく関係のない釜石を立て直そうと奮闘するヨソ者が現れた。
なんで自分のふるさとでもないのにこんなに一生懸命やってくれるのか最初は不思議だった。
「ヨソ者が頑張ってくれているのに、なんで自分たちが頑張れないんだ。」
次第にヨソ者の姿を見て気持ちを立て直していく自分がいた。
そして高橋さんは釜石地方森林組合だからこそできることがあるはずだと、リスタートを切った。
被災したひとのために間伐材を用いたリーズナブルな家づくり、林業を通して釜石を知ってもらうことを目的とした
ワークショップなど、釜石のためにできることをどんどん取り組んでいった。
そして今も変わらず釜石のために、できることはないか日々模索している。
≪釜石のために自分ができること≫
「釜石を知ってもらう、好きになってもらうきかっけのひとつとして林業を知ってもらえればそれでいいんだ。」
と高橋さんは話す。
現在、森林体験や、林業スクールなど常に釜石内外を問わず、積極的にひとを受け入れている。
“林業人にならなくてもいい。釜石地方森林組合にきて、釜石という場所を知ってほしい。
そこから釜石に関わるひとが増えたらもっと釜石が活性化するのではないか。“
「小さなことかもしれないが、少しでも釜石の役に立てればいい。」
高橋さんの心には、いつも釜石への熱い思いが根底にある。
≪林業を知ってもらう≫
林業に対する正しい理解が相手に伝わったと実感したとき、高橋さんは喜びを感じる。
先日、林業の活動の一つである間伐に関する森林体験を小学生に行った。
間伐は単純に木を伐採することと捉え、自然破壊と結びつけて考えられやすい。
しかし、間伐とは、“山の環境に害を与える木を伐採すること”であり、
山を維持するために重要な役割を果たす。
そのような内容を高橋さんは小学生に伝えたところ、
その小学生たちが高橋さんから聞いた話をもとに、間伐に関する発表会を行ったのだ。
発表会を見て、自分が伝えたことが、子どもたちにしっかり伝わっていることを実感し嬉しくなった。
間伐をはじめとした林業への理解を広げるため高橋さんは、
直接森林に触れ合うことができる森林体験を始め、活動の場を広げている。
≪高橋さんにとってのふるさととは≫
“初心に戻れるところ”
何もかも順調にいっているときって、ふるさとを思い出すことは少ない。
うまくいかないときこそ、自分はなにがしたいのか、ふるさとを思い出すことで、
自分のやりたいことをもう一度再確認することができ、初心に戻ることができると高橋さんは語った。